「子どもを勝手に遊ばせておくだけだったら、そこまで大変じゃないんです。たとえば好きなテレビ番組とかを見せるとか。でも、家の遊びでもお稽古ごとでも、きちんとしようと思うとすごく大変で、スケジュール管理だけでもひいひい言っています」と、笑いながら話すのは東尾理子さん。

「でも、理子は本当にそういうところはすごく優秀で、感心しっぱなしです。『明日はいないけど、明後日は家にいるのね。じゃあ子どもたちの送り迎えをよろしく』みたいな感じで俺のスケジュールも含めて決めていくのがすごく上手なんです」と、はにかみながら語るのは石田純一さん。

みなさんご存じのように、理子さん、純一さん夫妻には、5歳の長男、3歳の長女、0歳の次女(2018年9月現在)の3人のお子さんがいます。前編でも書いたとおり、理子さんは2年間の妊活を経て、3人の子宝に恵まれたのです。

とはいえ、タレントという仕事柄、不規則な日々を過ごす純一さんと理子さん夫婦。基本的には理子さんが家にいて、「子どもたちの面倒を見ている」そうですが、お二人はいったいどのようにして“5人の時間”をマネジメントしているのでしょうか。そして、忙しい日々の中でも夫婦円満を保つ秘訣とは? 理子さん、純一さんお二人にお聞きしました。

石田家の「大変、だけど幸せ」な日々とは?

3人のお子さんとの生活について理子さんが開口一番に語ったのは、「大変、だけど幸せ」という日常についてです。

「私は自分が一人っ子なので、本当にわからなかったんですけど、普段の生活は本当に“しっちゃかめっちゃか”で大変です。正直、常に誰かがどこかで泣いているような状態。赤ちゃん返りもあって、顕著だったのは2人目の長女で、彼女は甘えん坊の長男に比べてすごくしっかりした、自立した子でした。歩き始めたくらいのときから、洋服を自分で脱いで、洗濯カゴに入れて、おむつも脱いで、それをゴミ箱に捨てて、ちゃちゃっと風呂に入って、自分でぱんぱんって体を洗うくらい、自立していたんです。すごいですよね(笑)。ただ2歳で3人目が生まれたんですが、そこでなんでも『やってー!』って甘えてくるようになって。大変ですけど、私としてはそれが嬉しかったんですけどね。手はかかるけれど、甘えてきてくれるのがすごく『かわいいな』って思って幸せを噛み締める日々です」

とはいえ、夫である純一さんは不規則な仕事柄、なかなか家で過ごす時間が取れず、試行錯誤の毎日でもあるようです。

「もう頭がパンク状態ですね(笑)。試行錯誤の日々です。子どもを勝手に遊ばせておくだけだったら、そこまで大変じゃないんです。たとえば好きなテレビ番組とかを見せるとか。でも、家の遊びでもお稽古ごとでも、きちんとしようと思うとすごく大変で、スケジュール管理だけでも“ひいひい”言っています」

一方、純一さんはそんな理子さんについて、「いつも感心している」と感謝の気持ちを表してくれました。

「でも、理子は本当にそういうところはすごく優秀で、感心しっぱなしです。『明日はいないけど、明後日は家にいるのね。じゃあ子どもたちの送り迎えをよろしく』みたいな感じで俺のスケジュールも含めて決めていくのがすごく上手なんです。すごく助かっているし、感謝しています」

夫婦円満の秘訣は、「過度な期待を寄せないこと」

では、理子さんは家族のスケジュールを管理するうえで、具体的にどんなことに気を配っているのでしょうか。

「大きなところで言うと、『主人がいないという前提で、それでも生活を回せるようにする』ということを考えています。これについては、賛否両論あると思いますが、我が家の場合は、主人がタレントという仕事をしている限り、『早く仕事を切り上げて帰ってきて』と言ったって、できないものはできない。だから“いない前提”で最初はスケジュールを考える。もちろん、だからといって主人が何も家のことをしないわけではありません。特に3人目ができてから、家にいるときは、積極的にいろいろと自分からやってくれます。3人目の次女は、私が抱っこするよりも主人が抱っこしたほうが、スヤスヤと寝るくらいです」

過度な期待を寄せると後でつらい思いをしたり、喧嘩に発展したりする。だからこそ理子さんは、最初は“いない”という前提で生活を設計する。それによって感謝の気持ちも芽生えやすくなるのだそうです。

「いない前提だと、“いる”時間を家族5人でより大切にするようになります。さらに、家のことをしてくれたときの感謝の気持ちも、より大きくなる気がしますね」

家族の時間の確保の仕方については、純一さんもこのように話します。

「家族の時間を持てるように、たとえば収録が夜で家にいられないのならば、朝、子どもと一緒にいられるようにしています。どんなに二日酔いでも、早朝に帰ったとしても、頑張って一緒に朝食をとる。そこは理子から口を酸っぱくして言われていることでもあるのですが、俺としても守るように頑張っています」

この点について、理子さんが具体的なエピソードを明かしてくれました。

「たとえば、明け方に帰宅することもあるのですが、そのときにも朝の6時には夫婦揃って起きます。私が主人を叩き起こすときも少なくありませんけど(笑)。そこから子どもが幼稚園に行くまでの2時間は、しっかりと家族5人で過ごすんです」

逆にいえば、そこさえ守ってくれれば、子どもが幼稚園に行った後に「また寝たって構わないし、二日酔いで帰ってきてもいいって」と理子さんは言います。5人の家族の時間を確保するのに大事なのは、メリハリなのだといえそうです。

「自分たちのペースでいいので成長していくこと」が大切

また、3人目の子どもができて「変わったところがある」とお二人は異口同音に言います。「素足に靴」という独特のこだわりを持つことで有名な純一さんですが、「携帯電話やスマートフォンに縛られたくない」というこだわりも持っていました。しかし、その考えも少しずつ変化が見られるそうです。

「みなさんスマホを持っていらっしゃいますよね。なんか俺はスマホでSNS的なものにかじりついている現代人に疑問を覚えていて、だから極力スマホには触れたくなかったんです。でも3人目が生まれて、理子の様子とかを見ていると、そうも言っていられないかなと、最近は考えを少しあらためていて……」と純一さん。

理子さんも、「3人目が生まれて一番変わったのは、“そこ”かもしれないですね。たとえば、主人は週末に仕事でゴルフに行くことも多いんですね。帰りは一緒に夕ご飯を食べようって約束をしていても、『いまゴルフが終わったよ』とか『ゴルフ場を出たよ』って連絡が来ると思うんですけど、そういうのがいっさい来なかったんです。連絡がないまま、いきなり現れるので、こちらとしてもヒヤヒヤするし、少しでも待ち合わせ時間に遅れたら、『事故かな、渋滞かな』って心配になりますよね。それが最近、『5時頃には帰れるよ』っていう連絡が来るようになったんです。もちろん『そんなこと大したことない』って思われる方もいるかもしれませんが、これは我が家としては革命的な出来事で、3人目が生まれて主人の意識が高まったというか、変わってきているんだと思います」と語ります。

「俺が言うのも変かもしれないし、お前が言うなよって反論があるかもしれないけれど」と前置きをしたうえで、子育てでは、家族間の協力やサポートが大事であることに気づいたそうです。

「今の少子化問題の解決法を考えるときにもそうなんだけど、サポートってすごく大事なんですよね。俺は『子育ては女の仕事だ』なんてまったくもって思っていないんだけれども、たまたま我が家では俺が外で仕事をして、理子が子どもたちの面倒を見るというスタイルが合っていました。だからそういう夫婦の役割分担になっているんですけど、3人目が生まれて、理子の言葉でいえば“しっちゃかめっちゃか”な彼女の姿を見ていたら、携帯なんて触りたくないっていう俺のこだわりよりも大事なことがあるなと気づいたんです。譲れるところは譲っていこう、と。『3人目ができるまで気づかなかったの?』って突っ込まれることもありますけど」

他の人や家族にとっては些細なことかもしれない。だけど我が家にとっては非常に大きなこと──と理子さんも笑って同感します。

「とにかく今は子どもたちの送り迎えやオムツ替えもしれくれるし、帰る時間の連絡もしてくれる。そういったことは、1人目のときなどからは、想像もつかないほど、変わってくれています。かなり楽になりましたね」

石田家の「子育て方針」や「心配ごと」とは?

最後に、子育てに関するお二人の考え方についてもお聞きしました。「もちろん子育てについては、二人で話し合ってぶつかり合うこともあるんですけど……」と前置きをしたうえで、純一さんは基本的な子育て方針について、このように語っています。

「基本的には、二人の方向性は同じです。なるべく子どもたちの意見を尊重して、好きなことをやらせてあげる。大人は、つい『早く!』とか『急ぎなさい!』って言ってしまいがちなんですけど、それって得てして大人の都合で言っているだけだったりするんですね。だから、そういうのはなるべく言わないように、大人の都合を押し付ける雰囲気にしないように気をつけようって二人で言っています。もちろん我々も完璧ではないので、カリカリしてしまいがちなんだけど、そこは気持ちを鎮めて、一度深呼吸する。話していて思ったんだけど、これってゴルフとかと通じる話ですね」

一方で、理子さんは「別の心配もある」と言います。

「3人目が生まれてこれからの生活のことを想像したときに、食費も教育に関するお金もすごくかかるなって思いました。習い事も学校も、何でもかんでも思い通りに、好きなようにしていたら、いくらお金があっても足りないわけで、そこはうまく工夫していかないといけないですよね。学校選びにしても、習い事の数にしても、もちろん子どもたちの願いは極力かなえてあげたいけれども、一方で、どこかで“待った”をかけないといけないので、そこをどうするかは二人でもっとよく話し合わないといけないと思っています」

純一さんも、理子さんに同調して、次のように話します。

「そうですね。俺はけっこう政治の話とか、国際情勢とか気になっちゃうほうなんだけど、彼女はあんまりそういうことには興味がないみたいなんで、必然と二人の会話は子どもたちのことになります。ですから、これからも子どもの教育方法とか、学校選びや習い事については、その都度、真剣に話し合っていきたいなって思います」

3人という子宝に恵まれ、幸せいっぱいの日々を送る純一さんと理子さん。実は、今回のインタビュー現場には、第3子である次女のつむぎちゃんも来てくれていました。そんな生後半年の我が子を抱っこするお二人からは、幸せなオーラがにじみ出ていました。理子さん、純一さん、笑顔あふれる素敵な時間を一緒に過ごさせていただき、どうもありがとうございました!