みなさんが思い描く「家族のカタチ」とはどんなものでしょうか?
きっとそれぞれが思い描く、まったく違った家族のカタチがあることだと思います。でも、いったいどれだけの人が思い描いた家族のカタチを叶えることができているでしょうか。とりわけ、「理想の子どもの人数」という観点で見ると、いっそうその疑問は膨らみます。

胸の内で抱いていたはずの「家族のカタチ」や「理想の子どもの人数」を、やむを得ない理由から断念している人が少なくないようなのです。そこで私たちは、2人以上子どもを育てている家庭の特徴や出産・育児、生活の考え方をよく調べてみることにしました。

このシリーズでは、私たちが調べたそれぞれの「家族のカタチ」について、シリーズでご紹介していきます。
第6回目となる今回ご紹介するのは、『「早産+ 年子」でも 子育てを乗り切れた理由』について。

想定外に大変だった初産

渡辺家は妻の亜由美さん(仮名・36歳)、夫(36歳)、長女(5歳)、長男(4歳)の4人家族。
亜由美さんは個人で洋服の製作・販売を行っています。夫は会社員として働いていて、7時前に家を出て、22時頃に帰宅する日々。平日はなかなか子どもと一緒の時間は過ごせません。

「でも休みの日には『ママは休んでていいよ』と言って、子どもたちを公園に連れていってくれたりするんです。ありがたいですよね。だから平日もあったかいご飯を食べさせてあげたくて、どんなに帰りが遅くても、起きて待っているんです」

結婚後しばらくして、長女を授かった亜由美さん。けれども初産は想定外のものとなりました。

「30週の早産だったんです。近くの産院に通っていたのですが、緊急を要するということで、大学病院に転院しました。あれよという間に帝王切開して、長女はそのまま4ヵ月半ぐらい入院することになったので、私は毎日病院に通って授乳していました」。

保育器の中で、たくさんの管につながれた我が子に、夫は人知れず衝撃を受けていたのだそう。

「当時は私に気を遣って、打ち明けられなかったみたいですけどね。でも私は私で、危機感があま
りなくて。『これも運命だから、なんとか頑張れ』って開き直っていました」

同じ悩みを抱えたママたちが心の支えに

もともと子どもは2人ほしいと考えていた亜由美さん夫婦でしたが、夫は長女の経験から、消極的に考えるように。

「でも、やっぱり私は2人目がほしかったので、夫を『大丈夫だから』って説得したんです」。

亜由美さんの後ろ盾となっていたのは、同じ悩みを抱えたママたちでした。

「ネットで未熟児のママが綴っているブログを見つけて、個人的にメールしたんです」。

そのうちほかのママたちも含めて、未熟児サークルをはじめた亜由美さん。

「同じようなママたちがいるんだ、っていうことも心強かったですし、悩みを相談し合ったり、情報交換したり、オフ会をしたりしていました」

長男は長女と年子で誕生。

「なんとかなるかな、と思っていましたが、やっぱり大変でしたね(笑)。長女もかまってほしいのか、ミルクをダーッとこぼしたり、自分の手を噛んだりして。でも、“ なんとかする” って決心したら案外なんとかなって、今では子どもたちもほとんどケンカもせず、ふたりで仲良く遊んでくれるので、かえって楽なくらいです」

長女が小学校に入学する頃、渡辺家ではマイホームを建てることを考えているとか。

「両親も共働きだったので、子どもの頃、家に帰っても親がいないのが寂しかったんです。新しい家の一角には、アトリエとお店を構えようと思っていて。仕事をしながら、子どもたちを『おかえり』って迎えられるように」

『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト

発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
三輪慎一郎
藤平達之
定価:本体1,350円+税

書籍の詳細を見る