私たち公益財団法人1moreBaby応援団では、「日本をもっともっと子育てしやすい社会に変えていく」ことを目的とした助成事業を行っています。船出の年となった2018年度の本事業ですが、とても光栄なことに、たくさんの団体の皆さんにご応募していただきました。そして、厳正なる第一次審査、第二次審査を経て、私たちは5つの団体に対する助成を決めました。

今回は、そうした団体の1つである、VIVAMAMAさん(静岡県駿東郡清水町)についてご紹介していきます。インタビューに応じてくださったのは、同団体の代表であり、ごろんアートの主宰者である山本朋美さん、発起人でママヨガの指導にあたる小笠原香奈さん、託児スタッフや会計係を務める赤崎絵里香さん、そして託児スタッフやイベント時にはキットパス指導にもあたる柏木藍さんの4人です。

VIVAMAMAは「“ヨガ”と“ごろんアート”でママを楽しむ会!」

──まずはVIVAMAMAさんの活動内容について教えてください。

「私たちは、静岡県(駿東郡)にある清水町という人口3万人程度の街を拠点に活動するVIVAMAMAという子育てママ応援サークルです。行っている活動は主に3つで、子育て中(乳児〜未就園児)のママのためのヨガ指導と、親子で挑戦するアート活動、そして託児サービスの提供となります」(山本さん)

──「ママのためのヨガ」というのはどういうものですか?

「自分自身も出産を経験したなかで感じている産後の身体の歪みのケアや、育児からくる疲れや肩こりなど、ママ特有の悩みを意識したものです。ヨガを行っている約1時間は、後で説明すると思いますが、隣接した部屋で託児サービスを行っているので、自分の身体に集中することができます。それによって、心身ともにリラックスを促すことができます」

──「ごろんアート」については、どういったものなのでしょうか?

「簡単にいえば、親子で挑戦するアート活動、親子のための撮影会です。床に敷いたマットを一枚の絵に見立て、いろいろなものを飾り、最後に子どもをその中に登場させたら、パシャリとママが撮影します。定期的に行うことで、子どもの成長も感じられる記念写真を残すことができます。第一子出産後に、当時(2012年頃)流行っていた『ねぞうアート』を趣味で始めて、その後2015年頃からバザーや子育てサークル、イベントなどで、ワークショップのような形で『ごろんアート』として活動を行ってきました」(山本さん)

──託児サービスについても教えてください。民間サービスに委託しているのでしょうか?

「自分たちで行っています。というのも、私たち4人はいずれも幼稚園教諭免許と保育士の資格を持っていますし、とてもありがたいことに、保育士資格を持っている方々がボランティアスタッフとして手を挙げてくださっているので、自分たちでまかなうことができています」(赤崎さん)

「いまのVIVAMAMAの主な活動場所は、児童館が常設されている福祉センターになります。ですので、ピアノや滑り台、マットのほか、大小さまざまなおもちゃがあり、子どもたちも飽きずに楽しく遊ぶことができます。また、乳児と呼ばれるような赤ちゃんも少なくないので、『赤ちゃんコーナー』をつくるといった配慮もしています。先ほど赤崎さんのお話にあったボランティアスタッフさんは、自分たちも現役ママなので、ヨガに参加するママたちは安心して子どもを預けられますし、いろいろなことを相談する場にもなっています」(柏木さん)

参加者の皆さんと

団体の設立経緯と活動に込める思いとは?

──ありがとうございます。次に設立の経緯について教えてください。

「息子を出産した後、自分の体がゆがんでいることを感じていました。それを治すために家でいろいろやったのですが、子どもがいるとうまく時間が取れなくて。そのときに、『私と同じ思いを持っている人がいるはず』と思って、それで元同僚で友人の赤崎さんに『ママのためのヨガレッスンをしたい』と相談を持ちかけたら、『子どもの託児をするよ』って言ってくれて。私もですが、彼女も幼稚園教諭免許と保育士の資格を持っていたので」(小笠原さん)

──では、最初は託児付きのヨガレッスンでスタートしたということなのでしょうか?

「いえ。最初、小笠原さんにヨガの話をもちかえられたときに、子連れでヨガを教えている人は知り合いもいたりしたので、『そういうのは普通にあるよね』ってなって、もっと特徴を出したほうが参加者は増えると思いました。そこで、友人で、ごろんアートという活動をしている山本さんを紹介して、両方を一度に楽しめる会にしました」(赤崎さん)

「やっぱり、ヨガをしている間、母と離れることになる子どもは我慢になるなと思いました。ママからすると、それは心苦しいことなので、ごろんアートと組み合わせることで、親子でウィン・ウィンの関係になれるのかなと思って、一緒にやらせてもらうことになりました。今になって考えると、ごろんアートもママは楽しい一方で、子どもによっては泣く子もいるので、一概にウィン・ウィンだと言い切れない面もありますけれど(笑)。ただ、子どもがもう少し大きくなってきて、一緒に写真を見返したら、『ママはこんなことをしてくれていたんだ』って愛情を確かめ合うきっかけになるかなとも思っています」(小笠原さん)

──VIVAMAMAという名前にはどんな思いが込められているのですか?

「“ママヨガとごろんアートの会”みたいな説明調の名前も考えたのですが、長いとちょっとわかりづらいかなと思いました。それで、かっこよくてわかりやすい名前でなにかないかと、山本さんに相談したんです。私は彼女と学生時代からの長い付き合いなのですが、昔からそういうネーミングセンスがあったので、『どう?』みたいな無茶振りをして」(赤崎さん)

「私としては、とにかく楽しい会だよっていうのが伝わればいいと思って、VIVAMAMAという名前をつけました。貴重な限られた時間の中で、子育て中のママをハッピーにしたい。元気に過ごしてもらいたいという思いがギュッと詰まっている名前です」(山本さん)

活動の必要性、そしてその効果とは?

──VIVAMAMAが始まったのは、2017年の6月だとお聞きしています。まもなく2年近く経つと思うのですが、これまでの活動で感じているVIVAMAMAの必要性や存在意義についても教えてください。

「現在は月に2回のペースで静岡県の東部にある清水町にて活動しているのですが、実は参加者は近隣のママだけでなく、周辺地域、具体的には沼津市や三島市、裾野市、伊豆の国市、御殿場市などからも来てくれています。中には1時間近くかけて来てくれる人もいます。こうした参加者の多くは、SNSやクチコミをきっかけに集まっていますが、VIVAMAMAを通じて参加者同士が仲良くなるケースも少なくありません」(山本さん)

──なるほど。つまり交友関係を広げるという意義もあるんですね。

「そうですね。もちろんヨガやごろんアートが好きで来てくれているのだと思いますけれど、それだけじゃなくて、このVIVAMAMAを通じて、ママ同士でいろんな情報交換ができたり、交友関係を広げられることも、みなさんにとって重要なポイントなのだと感じています。自分もそうですが、保育園のことや子育てにおける悩みを相談したり、他愛のないおしゃべりをしたり……といったことで、ストレスが発散できますから」(小笠原さん)

──VIVAMAMAに来れば、「家ではできない、リフレッシュができる」ということですね。

「はい。それは結果的に、家庭円満にもつながっていくのかなと思っています。こうした活動でママがリフレッシュして、気持ちに余裕を持てると、仕事から帰ってきたパパに対して、ちょっとした拍子であたってしまうことがなくなります。子育てについても同じです。子育て経験者ならわかると思いますが、赤ちゃんや子どもはかわいいけれど、『なぜ泣くの?』『なぜ言うことを聞かないの?』ということが多々あります。そういうときに、冷静に対処できるかどうかも、気持ちに余裕があるかどうかに左右されます。だから、この活動を通じて、子育て中のママたちだけじゃなく、家庭にも良い影響を与えているのだと思っています」(赤崎さん)

ごろんアートの撮影風景

今後の取り組みについて

「これまでどおり、VIVAMAMAという活動を通じて、この地域に住むママたちを元気にしたい、輝かせることで、素敵な社会を形成していきたいと思っています。そして、私たちのもっと大きな夢、もしくは希望をいうと、VIVAMAMAを仕事にしていきたいとも思っています」

──なるほど。仕事といいますと、具体的にどういうことでしょうか?

「私たち4人にはそれぞれスキルがあります。たとえば保育、ヨガ、ごろんアート、キットパス、リトミック、ヒップホップ、ネイチャーゲームリーダー、ピアノ、クラウンなどです。それらを最大限に活かして、活動範囲を広げていき、仕事にできたらいいなと思っています。正直なところ、今はさまざまな活動費用を自己負担でまかっている部分が多いので、仕事ではなくボランティア活動の範疇に収まっています。手伝っていただいている託児スタッフのみなさんに、謝礼をお渡しすることもできていません」

──ボランティアから仕事にするためのアイデアは既にお持ちなのでしょうか?

「一つには、集客を強化したいと考えています。今後は、より多くの集客を目指し、チラシやポスターの作成・掲示を行ったり、公式ホームページの作成といった告知活動を広げていきたいと思っています。また、参加費を抑えたお試し出張イベントを実施することで、参加へのハードルを下げたり、パパの理解を深めるためにパパ参加型の活動も行っていきたいと考えています」

「ただ、仕事にするために、現在の料金体系を変えること、具体的には1回ずつの支払いではなく『会員制』を導入したり、参加費を上げるといったことは、したくありません。VIVAMAMAの理念と合わないからです。なるべくどんなママでも参加しやすいよう、経済的なハードルは下げてあげたい。だからこそ、集客を強化し、より多くの参加者を募ることが重要なのだと思っています」

4人それぞれの「夢」とは?

──最後に、みなさんそれぞれの夢、あるいは思いをお聞きしてもよろしいでしょうか?

「ごろんアートをメインで行っている私は、一人でも多くのママがごろんアートを通して、子どもとの思い出を写真に残してもらえたらと思っています。写真館で撮るような七五三の写真ももちろん貴重なものですが、それとは違ってごろんアートは、ママ自身がシャッターを押します。作品自体も自分たちでつくりあげていきます。そういうストーリー性も入っているので、より思い出に残すことができます。だから、毎回アイデアを絞り出して、同じテーマの写真にしないようこだわっていますし、季節やハロウィンなどのイベントも大切にしています。ママはどうしても忙しくて、何気ない日常の写真こそ撮ることはありますが、ごろんアートのように写真撮影のための撮影は忘れがちなので、今後もそういう思い出を残すきっかけになっていけばいいなと思っています」(山本さん)

──ありがとうございます。

──ヨガの指導にあたっている小笠原さんはいかがでしょうか?

「宣伝になってしまうのですが、もともと私はダンスが好きで、どちらかというと、ヨガは自分のためという要素が強かったんですね。だから、このヨガをきっかけに、子どもが私のダンスを習いに来てくれたり、親子でダンスに参加してくれたりするのが、とても嬉しくて。逆にダンスのほうからママヨガに来ていただくこともあるので、両方を大切にしていきたいですね。また、個人的には、お父さんやお母さんも楽しめる、親子が幸せになる保育園や幼稚園をつくりたいという壮大な夢も持っています。VIVAMAMAの活動の延長線にそういうことも見えてくるのかなと思っているので、頑張っていきたいです」

──それは壮大な夢ですね。ありがとうございます。

──赤崎さんはいかがでしょうか?

「私は普段、VIVAMAMAで託児を行っていることもあって、ママとお話しさせていただくことも多いのですが、そこで意識しているのは、初めて来たママに声をかけることです。そのなかで、『楽しかったです』『また来たいです』と言ってくださる方も多いのですが、一回きりで終わってしまうママも少なくなくて……。もちろん押し付けはだめですけど、さりげなく気が合いそうな人を紹介してみるなど、一回きりで終わってしまうようなママをもっとフォローするようなことができたらいいなと思っています。やっぱり、こういう場でママ同士が交流することで、発散できる部分も大きいので、『こういうところにくるのは初めてで、ドキドキしている』というママほど、緊張を解してあげたいなと思っているので、試行錯誤していきたいです」

──こういった活動では、雰囲気づくりも重要なポイントですよね。ありがとうございます。

──最後に、柏木さんはいかがでしょうか?

「実は、私は先に話をした3人と違うのは、立ち上げメンバーではなく、ボランティアスタッフとして入って、途中から正規のスタッフになったというところです。そういう意味では、あまり『こうしていきたい!』という壮大な思いはなくて、もう少し利用者目線で話をしたいと思います。子育てって、やっぱり“?”がいっぱいなんですよ。実は、VIVAMAMAの参加者は第一子を生んだばかりという新米ママも多く、そのほとんどの方が育児に対して、少なくない疑問を持ちながら日々生活をしています。そうした“?”がいっぱいの人ほど、参加するといいのになと思っています。ヨガでリラックスができるだけじゃなくて、いろんな疑問も解決できる。先輩ママに聞いたら、あっという間に解決策が見つかったということは、子育てで少なくないですからね。もしくは悩みを吐き出すだけでもリフレッシュになりますから。私としては、そういう部分で、これからも支援をしていけたらなって思っているので、ぜひたくさんの方の参加をお待ちしております!」(柏木さん)

──うまくまとめてくださってありがとうございます(笑)。あらためて、本日は、インタビューに応じていただきありがとうございました。

最後になりますが、VIVAMAMAでは、参加者に対してアンケートを行っているそうです。そこで寄せられた実際の意見をご紹介することで、締めくくりたいと思います。これらを読んで興味が沸いたかたで、近くにお住まいの子育て中のママは、ぜひ参加してみてください。

「スタッフの方全員がいつも笑顔で親しみやすくて毎回来たい!と思える場所です。子供が同い年のママ達がたくさんいるので相談とか情報交換とかたくさん交流ができてありがたく思っています」

「“いつも頑張っているママへ“というコンセプトがとっても嬉しいです。子どもがいるとなかなかヨガなど自分の時間が取れないので託児付きで気持ち良く、気兼ねなく参加できます」

「1回ずつの支払いでとても参加しやすい!(←子供の体調が悪い時にキャンセルできるから)」

「母親になると意外と閉鎖的な思考になりがちなところ、同じ子育て中のママさんたちと悩みを共感し合えるだけでなく他愛もない楽しい会話もできる場として私の中ではほっと息抜きの日としてビバママの日を楽しいみにしています。子育てのモヤモヤもみんなの笑顔と元気でその日帰ったら忘れています」