二人目の壁──「ワンモア・ベイビー・ラボ」や2013年から毎年実施してきた「夫婦の出産意識調査」で取り上げてきたこの社会課題は、希望する人数だけ子どもを産めないというものです。その要因は、経済的な理由やワンオペ育児によるストレス、仕事と子育ての両立問題などさまざまです。

一方で、最近では「ニ人目不妊」で悩む人の実態も明らかになってきました。「ニ人目不妊」は、二人目の壁を乗り越え、自分または夫婦でニ人目を作ろうと決意を固めたものの、実現には至っていないというものです。

今回は、この「ニ人目不妊」の実態について、「夫婦の出産意識調査2019」の中で行った、不妊に悩んだことがある全国の子育て世代約1,000人に対する調査結果をご紹介していきたいと思います。

「3人に1人」が二人目不妊に直面していた!

では、一体どの程度の人が「ニ人目不妊」で悩んでいるのでしょうか? そして、その原因や悩みは何でしょうか?

私たちは「ニ人目不妊」の現状を知るため、「不妊で悩んでいる・悩んだことがある方1,021名」に対し、「ニ人目不妊」に関する調査を実施しました。

その中で、「『妊娠ができないこと』で悩んだのは何人目か」という質問を投げかけました。すると、35.6%の方が2人目で悩まれていました。不妊で悩んでいる人の実に約3人に1人以上が「二人目不妊」だといえます。

不妊というと、子どもがいないカップルを想像する人も多いかもしれません。しかし、すでに子どもがいる多くのカップルも、不妊で悩んでいるでいることが分かりました。

1人目の子どもができれば、2人目もすぐにできると思っていた!?

また、「ニ人目の不妊」で悩んでいる人のうち、「1人目の子どもができればすぐに2人目もできると思っていた」と回答した方は59.6%という結果でした。すなわち、自分の想像と現実の間にギャップがあることが分かったといえます。
「1人目の妊娠が計画外に実現した」または「妊活が予定通りであった」などの理由から、このように考える人が6割近くにものぼるのでしょう。

しかし、2人目の妊活は、1人目のときよりも当然年齢を重ねています。また、1人目の育児と並行して取り組む必要もあります。生活環境が変わり、体の状態や夫婦関係のこと、そして生活環境やリズムについても、1人目の妊活とはまったく違う環境であることは容易に想像できると思います。

「ニ人目不妊」の原因はどこにあるのか?

では、二人目不妊で悩んでいる人は、その原因について、どのように考えているのでしょうか?
その実態を探るため、「妊娠できないことは何が原因とお考えですか。その理由を教えてください」という質問を投げかけました。すると、以下のような結果となりました。

「自身の不妊」が38.5%(※「パートナーの不妊」と合計すると50.0%)と、最も高くなっています。続いて、「セックスの機会が少なくタイミングが合わない」が25.0%(※「セックスレス」と合計すると36.2%)となっています。

つまり、晩婚・晩産化が進む現代の社会では、2人目の妊活に取り組む年齢も当然上がっており、それが要因となって不妊に悩む人が多くなってるのだと考えられます。

また、1人目の育児が始まったことによって大きく環境が変わりますので、夫婦の関係性の変化やすれ違いが生じ、セックスレスやセックスの機会がないといったことが、「二人目不妊」の原因となることもあるようです。

「ニ人目不妊」にある特有の苦労とは?

「二人目の不妊」に悩んだ経験を持つ方に対して、「不妊治療専門クリニック」についても聞きました。すると、「子連れで通える病院が少ない」が35.8%、「子連れで行ける時間が制限されている」が32.8%、「子連れで通院した際の周囲の目が気になる」が28.4%となりました。

これら3項目のうち、いずれかを選択した人は69.4%にのぼり、不妊治療専門クリニックの通院に不便を感じる人が多い結果が出たといえます。不妊治療のために病院に通いたいにもかかわらず、その希望がなかなか叶えられていない現実が浮き彫りになりました。

2人目だってやっぱり、「どうしても欲しい!」

「二人目不妊」を乗り越えて出産した人に対して「『妊娠ができないこと』に悩まれた時のお気持ちをお聞かせください。」という質問をしました。
すると、「不妊治療の病院に通うなど、どうしても子どもが欲しかった」と回答した人が73%で、「自然に出来るのであれば欲しかった」と回答した6.5%を大きく上回る結果となりました。
なお、「一人目の不妊」を乗り越えて出産した人のうち、「不妊治療の病院に通うなど、どうしても子どもが欲しかった」と回答した人が76.5%でしたので、1人目の不妊も2人目の不妊も、同じくらい「子どもが欲しい!」という強い気持ちを持っていることがわかります。

「子どもに遊び相手をつくってあげたい」
「将来が不安だからこそ、将来支え合える関係である兄弟をつくってあげたい」

私たちの調査の結果では、そんな声が数多くあがっています。

2人目を希望しているみなさまへ

「二人目不妊」の原因は、個人によってさまざまですが、共通していえることもあります。「2人目が欲しい」と思ったら、早めに行動を起こすことがとても大切だということです。
現在、2人目の不妊で悩んでいる人にとっても、悩んでないけれども2人目を希望している人にとっても、年齢は最も乗り越え難い壁の1つです。平均寿命がいくら伸びても、妊娠適齢期は変わらないからです(妊娠適齢期については、専門家である浅田義正先生の記事や、私たち1moreBaby応援団の理事でもある齊藤英和先生の記事もご参照ください)。

また、夫婦関係ももちろん大切です。1人目の育児での経験や環境は、夫婦関係に大きな影響を及ぼします。1人目が生まれた後の家事や育児の分担、仕事との両立をどうするのか、パパもママも、2人でしっかりと計画的に取り組むことが必要です。

もちろん、不妊治療の病院に通う環境など、社会全体に関する改善も欠かせません。

まずは、今すぐにでも自分たちにできることから取り組みはじめてみませんか? これからの家族のために──。