通勤時間や勤務時間を考えると、子どもと一緒に過ごせる時間は、そう長くはないのかもしれません。会社勤めを続ける限りは、なかなか生活を変えることは難しいのが日本の現状ともいえるでしょう。そんな中、起業や独立することで、働き方を変えたある夫婦がいました。
同じ会社に勤める「仲間」からのスタート
清水家は妻の綾さん(仮名・35歳)、夫(33歳)、長女(4歳)、長男(2歳)の4人家族。綾さんはネイリストとして自宅近くのサロンで働いており、夫はフリーのデザイナーとして働いています。
夫は自宅の書斎を仕事場として使っているので、打ち合わせや出張以外は基本的には家にいます。
「子どもたちには『パパのお仕事の邪魔しないように』とは話しているんですけど、やっぱりかまってほしいみたいで。抱っこしながらパソコンに向かっていたりしますね」
綾さんと夫はもともと同じ会社に勤めていた、いわゆる「職場結婚」。
結婚を機に綾さんは退職し、会社時代に取得していた資格を生かし、ネイリストに転身しました。
「手に職をつければ、子育てしながら仕事が続けられるんじゃないかと思ったんです」。
はじめはネイルサロンに転職。長女の妊娠をキッカケに退職し、個人ベースで仕事を続け、1年前に友人と共にネイルサロンを起業しました。
「外に出ていたいタイプで、夫にも『専業主婦にはなりたくない』と話していたんです。長男が卒乳してから本格的に仕事復帰しました」
起業・独立で子どもたちと一緒にいられるように
一方の夫も、半年前に勤めていた会社を退職。独立してフリーとして仕事をはじめました。
仕事的にも直接取引できるような基盤を築きつつあっただけでなく、子育てにより良い生活環境を求めたことも、独立のきっかけでした。
「長男が入院したことがあって。基本的には私が付き添っていたので、夫に長女の保育園の送り迎えを頼んだんです。そうしたら夫に対して『早く帰るなんて』と会社から圧力がかかって。子どもが大変なときに面倒を見ることもできないなんて……なんのために働いているのかわからないじゃないですか」
夫は土日祝日が基本的には休みで、綾さんは日曜が休み。そのため、保育園がない祝日は夫がメインとなって子どもたちの世話をします。
「家族には『土日祝日はママ業休み』って宣言しているんです。炊事や洗濯などは基本的に私がしていますが、子どもたちのことは夫が担当。トイレに行くときも『パパに言ってね』って話しています」。
綾さんが仕事している間、LINE には夫から子どもたちの様子が写真で送られてきます。
「夫が子どもを連れていく場所は、私とは違うようで、それはそれで子どもたちも楽しいみたい。『ママ、早くお仕事に行ったら?』なんて言うんですよ。どうせアイスを買ってもらうのが楽しみなだけなんだから(笑)」
綾さん夫婦が会社を辞めて、手に入れたのは、「子どもたちと一緒にいられる時間を増やす」ワークスタイルでした。
『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト
発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
三輪慎一郎
藤平達之
定価:本体1,350円+税